公募展とは2

作家さんにとっての幸せの1つ。

名前と顔と絵が、お客さんの中で一致すること。

 

思い入れのあるモチーフを何年も続けて

キャンバスのなかにいれるとする。

それが例えば「カラス」だったとしたら、

「その作家はカラスの作家」となり、

それが多くの人のなかで一致することになる。

 

その場合、自ずと名前と作品が一致することになり、ようやくここで「名前=絵」の図式ができあがる。

ここに「=顔」を追加するためには個展をやったり懇親会のなかでお客さんと直接会話したりするしか方法はないのかもしれない。

 

ここで問題にしたいのは、公募展に何年も出品し続けてお客さんのなかに「名前=絵」図式ができあがったときのことだ。

作家さんとしてはキャンバスのなかに「カラス」をいれ続けなければいけなくなってしまう。でなければせっかく一致した作品と名前が不意になってしまう可能性があるからだ。

 

そして、作家さんのなかにある種の不自由さ、最初は思い入れがあるからとモチーフに選んでいただけなのに、そのモチーフに拘束されている自分に気づくことになるだろう。

 

これは公募展特有の現象ではないか。

 

「もうカラスを描かなくても大丈夫ですよ」

 

作家さんにとっての幸せとは、こう言われることなのかもしれない。